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on August 25 2021
オンラインボランティア研修会(通訳講義)を開催しました
8月14日(土)に、東京外国語大学 大学院総合国際学研究院 准教授(コミュニティ通訳研究)の内藤 稔先生によるオンラインボランティア研修会を行いました。お盆と、全国的な大雨の影響で避難勧告が出るなど大変な状況でしたが、17名の登録ボランティアの方々にご参加いただきました。
通訳時の事例研究では、ボランティアの皆さんの通訳経験や実際に起こり得る状況にどのように対処するかをグループで話し合いました。
9月18日(土)には「災害時の翻訳」について、研修を行います。災害時の混乱した状況の中で、どのように翻訳を進めていけばよいのか、実際の翻訳原稿を参考にしながら、シミュレーションする研修会です。事例研究の内容をご紹介します!
設定1
登場人物
幼稚園の先生、両親(父親は日本人で義理の父親、母親は外国人)、児童、ボランティア通訳者
状況
幼稚園の先生が説明をしているが、終始、日本人である義理の父親に向かって話している。会話から母親が取り残されている。
母親(外国人)が理解できているか、信頼関係が築けているか分からない状況。議題
言われたことを過不足なく通訳するのが基本だが、幼稚園の先生に対して、母親にも話をするように言いますか?
参加者の答え
- 母親に通訳から「何か質問はないか」と問いかける。
- 先生に母親の方にも話をするようお願いする。
- 先生の話が終わった後、内容が分かったか母親に聞く。
内藤先生’s tip
通訳だとして、ただ訳をするだけだと大事な内容が伝わらないので、臨機応変に対応することを求められる時もある。
設定2
登場人物
家賃を分納中の外国人、不動産会社の人、ボランティア通訳
状況
外国人相談者は分納も滞りがちな状況。このところ経済面に余裕ができてきたが、家賃の分納期間を延長してほしいと不動産会社に申し出た。
窓口の担当者は「今までもきちんと支払っていないので、あなたのことが信用できない。」と言った。議題
窓口の方が言った「あなたを信用できない」という言葉をそのまま訳しますか?
参加者の答え
- “ I don’t trust you.”などとそのまま訳する。
- “ It’s difficult to trust you.”など、オブラートに包んで訳する。
内藤先生’s tip
暴言など、オブラートに包みにくい言葉もあるので、言った本人(窓口の人)に「今の言葉は本当に訳しても大丈夫ですか?」と聞いてみるのもいい。
★次回の研修会予告★
9月14日(土)13:30~16:00 「災害時の翻訳・コミュニティ通訳」